Wednesday, December 27, 2006

博士の愛した数式

ホントは違うネタを書きたかったのですが,昨日ちょうど読み終えたこのネタで.余韻が消えないうちに.
友人のブログで紹介されていた小説.「博士の愛した数式」,小川洋子さん作.この方の作品は始めて読みました(てかあまり本読まないので知ってる作家が圧倒的に少ない).素人数学ファン(?)としては琴線に触れる題名です.以下少々ネタバレあり.

大筋というか本題は友愛.博士の記憶は80分しか持たないとか数学上の命題,阪神ネタなどは物語のアクセントです.そう言った意味では素人数学ファン(どういうファンだ)にとっては物足りない.おそらく数学者の持つ一種の純粋さを人物像に取り入れたくて,「博士」という設定になったのでしょう.この記憶障害ネタから連想される映画「メメント」を思い浮かべると,全く違います.小道具的には似ている所もあるけど.あの映画はあれでアイディアがすばらしくて秀作ですが.記憶をたどる過程の思わぬ発見・意外な過去,的な手法は似てるといえば似てます.それよりも読み進むうちに感じた感想としては「アルジャーノンに花束を」に近い雰囲気があるかな,と.かつて持っていた能力を失っていく寂しさというか哀愁が何か共通しています.
脱線しますが「アルジャーノンに…」のアルジャーノンや主人公もそうだし,この小説の博士にも言えますが,本人は実は幸せなのではないでしょうか.悲哀や喪失感を感じるのはむしろ残された者や傍から見ている第三者なんでしょう.そういう点では認知症の家族が感じる特有の無力感に近いものがあるかもしれません.

いやこの物語の本筋は博士を中心に結びついている温かい友愛の鎖です.久しぶりに出会った美しい話だと思います.お察しの通り一人涙しました,ハイ.悲しいけど温かい気持ちに包まれて余韻に浸っていると,こういうすばらしい本をもっと読みたいと思いました.でも本を読むのって時間かかるし,期待外れの本を読んで時間を浪費したと思うと悔しいですよね.なのでなかなか新しい本を読みません.だめですね.
ともかく,おすすめ.

ところでこの本,以前も紹介した紀伊国屋NY店で購入しました.お値段$6ちょっと.¥700くらい?むーどうなんでしょこの値段,しかたないのかな….
写真はその紀伊国屋の前.Rockefeller centerにあります.

2 comments:

JUN said...

いいよね、これ。
 西の魔女・・・もお勧めですよ。

k1 said...

「西の魔女が死んだ」でしたっけ.
NYにあるBook Offで探してみようかな.新しく買うのは高いから(笑).