Tuesday, March 13, 2007

リアル・アフリカ

この写真,どこの国か分かりますか.


参考までに,アフリカのどこかの国の首都でもなければ,カトリーナ被害のニューオリンズのスラムでもありません.れっきとしたNew York Cityです.もっともmanhattanではなくてその北のThe Bronxという地区ですが.

先日そのBronxのYankeesスタジアム近くで大規模な火事がありました.この家事で4階建てアパートが全焼,10人もの死者が出ました.しかもうち9人は10歳以下の子供.上の写真はその葬式の時の一枚です.一つの火災でこれほどの被害者がでたのはNYでは十数年ぶりだそうです.火事後にはブルンバーグ市長が会見するなど大きな話題を呼んだ火事ですが,被害者が多いから話題になってるわけではありません.実はこのアパートには3家族計22人が住んでいたのです.しかも全員西アフリカはマリ共和国からの移民で全員が親族関係.話題を集めたのは彼らがいまだに一夫多妻の家族で敬虔なムスリム.大人たちは不法移民だったと続々と移民の秘密が暴露されてきたから.もちろん子供たちはアメリカ生まれなので市民権を持ち一応こちらの学校に通っているのでしょうが,大人たちの職業といえばタクシー運転手,(ブレイズを編む)髪結い師など.英語も片言なので火が出た瞬間に唯一いた大人の女性は,911に電話せずなんと夫の携帯に電話して助けを呼んだとか.こういった連絡の遅れもあって被害が拡大したのも事実らしいです.

ここで,不法移民は自業自得とか建物の老朽化が悪いとか消火態勢の不備とか,責任の押し付けあい議論は置いといて,現実してアメリカはこういう移民で成り立ってる社会なんだな,と改めて感じた次第.想像するに,彼らが就ける職業なんて掃除夫とか,ゴミ集めとか,デリバリー隊とかがせいぜい.タクシー運転手なんて良い方.白人がやりたがらない汚れ仕事を引き受けてるわけですよ.で,彼らの子供もお金がないので良い教育を受けられないから,大人になってもやっぱり良い仕事に就けなく,低賃金の仕事になっちゃう.かくして見えない階級差がずーっと続くのですね.彼らのような移民も自分たちを守るためにコミュニティを作ってその中だけで生活しちゃう.おかげで結束は非常に強いんだけど,コミュニティ外の人は,今回みたいに知られざる移民生活をかいま見て驚くというわけですね.同じ市内に住んでいるのに.(ちなみに今回の被害者の旦那は(二人の妻持ち)マリ出身で移民で成功した人.移民達の面倒を見ててコミュニティの中心的存在だそう.)

いやいやアメリカは平等のチャンスがあって世界一進んだ民主国家だ,という意見もあるかもしれませんがそれも嘘.階級差は歴然とあるしそこから抜け出せる人はほんの一握り.政治を動かしている人はしょせんWASP(白人・アングロサクソン・プロテスタント)といわれてるごくごく一部の人.大多数の人は政治に参加できてない気がする.それだけにオバマ氏は希有な人かもしれないけど.

これがアメリカなんだといえばそれまでだけど,やっぱりこの国は業が深くて偽善に満ちた国じゃないかな,と感じてしまいました,

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